AI・検索行動

最終更新日2026.06.16

生成AIによる誤情報リスクへの対策と、意図した文脈で語られるための情報発信設計

吉田 崚人

執筆者:

株式会社CINC AI戦略部 マーケティンググループ マネージャー

吉田 崚人

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松村 拓実

監修者:

株式会社CINC AI戦略部 チーフ

松村 拓実

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生成AIによる誤情報リスクへの対策と、意図した文脈で語られるための情報発信設計
ChatGPTやGemini、Google AI Overviewsなどを通してユーザーの情報収集が行われるようになり、「生成AIの回答上で企業名や商品・サービス名が紹介されること」の重要性が増しています。しかし、生成AIの回答には誤りや古い情報、意図しない文脈での言及が含まれていることがあります。そのため、AI検索最適化(GEO/LLMO)においては、ただ「生成AIの回答上で紹介されること」だけでなく、表示される情報の「正しさ」や「意図した文脈で語られているかどうか」も大切です。

本記事では、CINCがセミナーで紹介した考え方をもとに、生成AIがもたらす新たな事業リスクと、誤情報への対策、そしてAIに正しい文脈で認識されるための情報発信設計について整理します。

この記事でわかること

  • 生成AIの回答上で企業名や商品・サービス名が紹介されるだけでなく、表示される情報の正しさと文脈まで整える必要がある
  • 誤情報対策は、回答に誤りや古い情報が表示されていないか確認することから始めるのが基本である
  • 生成AIに意図した文脈で語られるためには、AIパーセプション*を定め、発信内容を統一することが重要である
  • 生成AI時代は、流入数だけでなく、AI上でどう見られているかを前提に情報発信を設計すべきである

*AIパーセプション:生成AIから自社や商品・サービスがどう認識されたいかを定義する考え方

生成AIの誤情報対策については、以下の動画でも解説しています。あわせてご覧になってください。

 

生成AIがもたらす誤情報リスク

生成AIの利用拡大に伴い、企業には誤情報によるリスクが生まれています。具体的には以下の2点です。

  • 誤った情報がそのまま回答として表示される
  • 意図したブランドイメージとは異なる文脈で紹介される

誤情報によるブランド毀損や機会損失のリスク

生成AIの回答上で誤った電話番号やサービス内容などが表示されれば、問い合わせ機会の損失、ブランド毀損に直結します。

例えば、「○○会社のカスタマーセンターの連絡先を教えて」と生成AIに質問し、誤った電話番号が回答された場合、顧客がその番号に電話してしまうと顧客体験の悪化やクレームにも発展しかねません。

こうした誤情報に対処せずそのままにしておくことは、事業機会の損失にもつながります。

意図しない文脈で語られるリスク

正しい情報が出ていたとしても、企業が伝えたい文脈とは異なる形でAIに紹介されることがあります。例えば、「日常のストレスから解放され、リラックスしたり、会話を楽しんだりできる空間」を提供したいと考えているコーヒーチェーンが、生成AIには「コーヒーの価格が安く、おいしいと評判のカフェ」と語られてしまうなどのケースです。

このようなズレは、事実誤認ではありません。しかし、ブランドの見せ方という観点では、意図と異なる印象を与えるため、無視できないリスクです。生成AIにどう認識されたいかを定め、表現や発信内容をそろえていく必要があります。

AIによる誤情報・古い情報・認識のズレがブランドを毀損するリスクとなり得ることを示すイメージイラスト

生成AIの回答が適切か、現状を把握する方法

まずやるべきことは、生成AIが自社をどう紹介しているか確認することです。ChatGPTやGemini、AI Overviewsなどで商品・サービス名について実際に質問してみましょう。

確認のポイントは次の通りです。

  • 事実が合っているか
  • 古い情報が残っていないか
  • 意図しない文脈で紹介されていないか
  • 参照元としてどのページが使われているか

AIの回答が正しいか、現状を把握する際に使用するプロンプトと確認事項の一覧イメージ。カテゴリ、プロンプト、要素、実際の情報、出力結果、正誤の列があり、それぞれ例が記載されている。

AIの回答の情報源となっている引用URLを確認する際のイメージ。

重要なのは、誤情報と文脈のズレを分けて見ることです。電話番号や会社概要のように、正誤で判断できるファクトは誤情報対策の対象です。

一方で、内容は間違っていないものの、想定と違う印象で語られる場合は、AIによる認識のされ方(CINCでは「AIパーセプション」と呼んでいます)の問題として捉えます。

現状把握では、生成AIの回答を確認するだけでなく、記録しておくことも大切です。どの質問でどのような答えがでてきたか、どのURLが参照されていたかを整理しておくと、後の修正がしやすくなります。

生成AIの回答に誤情報がある場合の対策法

誤情報が見つかった場合は、原因となっている情報源ごとに対処します。基本は「自社で直せるものから直す」です。

自社サイトやGoogleビジネスプロフィールに掲載されている情報の確認と修正

最優先で確認したいのは、自社サイトやGoogleビジネスプロフィールなど、自社で掲載内容を管理できる媒体です。会社名、商品・サービス名、電話番号、所在地、料金、事業内容など、生成AIが参照しやすい基本情報が古いまま残っていると、そのまま回答に反映されるおそれがあります。

特に、過去に公開したサービスページや会社概要ページは注意が必要です。リニューアル前の表現や古い情報が残っていると、生成AIがその情報を収集してしまうおそれがあります。Googleビジネスプロフィールも更新漏れが起こりやすいため、定期的な見直しが必要です。

2021年にCINCが公開したサービスLPと、架空の飲食店のGoogleビジネスプロフィールのイメージ。公開後にメンテナンスをしないまま古い情報になっていないか、Googleビジネスプロフィールの基本情報に誤りがないか、確認し、間違っている場合は修正が必要。

外部サイトに掲載されている情報の確認と修正

生成AIはコーポレートサイトのように企業自身が運営する公式サイトだけでなく、第三者による外部サイトの情報も参照して回答を組み立てます。サービス比較サイトや商品比較メディア、業界メディアなどに古い情報や誤った内容が残っていると、回答にも影響します。

そのため、引用・参照元となっているURLを確認し、その外部サイトの情報に誤りがある場合は、修正依頼を出します。自社で直接変更できないからこそ、定期的な監視が必要です。

自社に関する情報をアップデートするため、ニュースページを活用

最新情報を生成AIに認識してもらうには、ニュースページの活用が有効です。新商品の発売、料金改定、機能追加、受賞、移転、組織変更など、更新日を明示した情報をニュースとして出しておくと、生成AIが新しい情報を参照しやすくなります。

ニュースページは単なるお知らせ欄ではなく、生成AIに最新情報を提供できる情報基盤とも言えます。マーケティングだけでなく、広報や経営企画などの関係する部署とも連携しながら、更新し続ける体制を作ることが重要です。

生成AIの回答で意図した文脈で語られるための対策法

誤りや古い情報を直すだけでは十分ではありません。内容が正しくても、文脈やニュアンスがズレていると不十分で、そこで必要となるのがAIパーセプションの設定です。

AIパーセプション(AIからの認識のされ方)を設定する

AIパーセプションとは、生成AIから自社や商品・サービスがどう認識されたいかを定義する考え方です。まず「AIにどのようなカテゴリーの商品・サービスとして紹介されたいのか」を決めます。

例えば、CINCで提供している「Keywordmap」というツールは、以前は「SEO・コンテンツマーケティングツール」として紹介されるよう情報発信を設計していました。しかし、AI検索最適化(GEO/LLMO)に関連する機能が新たに搭載されたことから、最近は「SEO・GEOツール」で表記の統一を図っています。

これは、SEOツールとしても、GEO(LLMO/AIO)ツールとしてもAIに認識・推奨されたいからです。

AIパーセプションを定める際は、次のような項目を整理すると実務に落とし込みやすくなります。

  • 会社名
  • サービス名
  • カテゴリ名
  • 主要な提供価値
  • 評価されたい軸

また、上記のようなサービス表現に加え、自社の強みを整理・言語化し、それが自社サイトや外部サイトに反映されている状態にすることも重要です。
例えば、住宅会社の場合、以下のような強みを持つケースがあります。

  • デザイン性の高さ
  • 断熱性の高さ
  • 耐震性の高さ

自社についてWebサイト上で紹介する際に、上記の強みも同時に紹介するようにしましょう。

結果として、「自社がどんな強みを持つ企業なのか」「どのようなニーズを持つユーザーに向いているサービスなのか」などがAIに認識され、最適な文脈で推奨されやすくなります。

AIパーセプションの考え方の例。「CINCハウス」という架空のハウスメーカーが、断熱性・耐震性・デザイン性に強みを持っている場合、「CINCハウスは断熱性や耐震性などの性能に強みを持ちながら、デザイン性の高さにも定評のあるハウスメーカーです」などの説明文が考えられ、それをWeb上に反映していくこととなる。

情報発信の設計1:表現を統一する

生成AIに意図した文脈で語られるためには、社内外の表現を統一することが欠かせません。会社名の表記ゆれ、サービス説明の言い回しの違い、カテゴリの呼び方のズレなどがあると、生成AIからの認識もブレやすいです。

特に自社サイト、SNS、プレスリリースなどで異なる説明をしていると、生成AIは一貫したブランド像をつかみにくくなります。まずは「どう呼ばれたいか」を決め、その表現を各媒体でそろえることが重要です。

情報発信の設計2:一次情報・独自データを活用する

AIは、再編集されたコンテンツよりも、一次情報や独自データを持つページを参照しやすい傾向があります。調査レポート、独自アンケート、実測データ、業界インサイトなどは、自社の専門性を示す強い材料になるでしょう。

実際にCINCでは、AI OverviewsやChatGPTに関する調査を実施し、プレスリリースを発信しています。自社の強みと接続したテーマで、継続的に一次情報・独自データを発信していくことがポイントです。

CINCが配信した調査レポートのプレスリリースの例。人材/求人領域のAI Overviews、ChatGPTに関するデータ調査をレポートとしてまとめている。

出典:CINCプレスリリース

>>AI検索 動向調査レポートを見る

情報発信の設計3:事例ページを整備する

事例ページは、特にBtoBにおいて、AIに実績や強みを伝えるうえで有効です。業界、企業規模、課題、施策、成果などを整理して掲載しておくと、AIが得意領域を認識しやすくなります。

例えば、製造業支援が強みなら製造業の事例を厚くする、BtoBの中堅企業向けサービスならその規模感の事例を優先的に作成する、といった形で、AIに伝えたい文脈に合わせて事例ページを設計します。

>>参考:CINCの導入事例ページを見る

情報発信の設計4:ニュースページを整備する

前段で紹介の通り、ニュースページは最新情報の発信だけでなく、AIに対して「この会社は現在も活動している」というシグナルを出す役割も持ちます。新機能、受賞、移転、組織変更などの情報を、日付付きで継続的に発信していくことが大切です。

AIは最新情報を好む傾向があり、更新日の新しいページが参照されやすいため、ニュースページを整備しておくことで古い情報が更新されない状態を防ぎます。

「Keywordmap」のニュースページ活用例。「BOXIL SaaS AWARD」のSEOツール部門で選出された際のニュースが例として掲載されている。

Q&A

生成AIによる誤情報回答のリスクは、従来のレピュテーションリスクとどう異なりますか。

従来のレピュテーションリスクと大きな違いはありません。違いがあるとすれば、ChatGPTやGemini、Claude、AI Overviewsなど、リスクが表面化する場が増えたことです。

AI回答を通じて、以前よりも広い範囲で誤った印象・情報が広がりやすくなっています。つまり、リスクの種類が変わったというより、リスクの起きる接点が増えたと捉えるのが適切です。

生成AIに誤情報を回答されているか確認するステップを教えてください。

まずは、重要度の高い項目から確認しましょう。例えば、会社名、サービス名、事業内容、電話番号、料金など、事業インパクトが大きい項目を優先してプロンプトを設定し、定期的にモニタリングしてください。そのうえで、回答内容が正しいかどうかを判定し、誤っていれば引用・参照URLを確認します。自社サイトと外部サイト、どちらに由来する誤りなのかを見極めれば、修正すべきページが明確になります。

また、「誤情報」か「文脈のズレ」かを切り分けることも重要です。前者は情報の修正、後者は発信設計の見直しとして、それぞれ対処すると整理しやすくなります。

モニタリングする対象のプロンプトの設定例。「CINCが提供しているサービス名を教えてください」「CINCの電話番号を教えてください」などのプロンプト例が並んでいる。

生成AI経由の流入がほとんどない場合も、誤情報対策を実施したほうが良いですか。

はい、実施したほうが良いです。生成AI経由でのサイトへの流入が発生していなくても、AI回答に表示され、ユーザーに見られている可能性があるからです。

ユーザーは、生成AIとの対話を通じて企業や商品・サービスを知り、Webサイトを経由せずに比較検討を進めることがあります。つまり、流入数が少なくても、生成AI上で見られていないとは限りません。

特に、会社名や商品・サービス名で検索するユーザーは、購入や導入を検討している可能性が高いため、誤情報が与える影響は小さくありません。流入が少ないから対策不要と判断せず、早めに整えておくことが重要です。

まとめ

生成AIにおける誤情報対策は、まず自社サイトの情報を正しく整えることから始まります。会社概要、サービス情報、電話番号、料金などを見直し、古い情報を残さないことが対策の第一歩です。

そのうえで、AIに「どう認識されたいか」を明確にし、表現の統一、一次情報や独自データの発信、事例ページやニュースページの整備などを進めることで、意図した文脈で語られやすくなります。

生成AIは今後も検索行動や情報接点を大きく変えていく可能性があります。流入数だけを見るのではなく、AIから自社がどう見えているかを継続的に確認し、早めに手を打っていくことが重要です。

CINCでは「AI誤情報チェック機能」を開発しているため、コンサルティングしているお客さまの製品やサービス、企業情報などの誤情報がChatGPT・Gemini・Perplexity・AI Mode・AI Overviewsの回答上に出ていないか効率的にチェックすることができます。取得した回答データは正確・鮮度混在・文脈ズレ・不完全・不正確・ハルシネーション・情報なしの7段階のラベルで自動判定され、回答生成時の情報源となった引用URLとともに表示されるため、内容に応じた対策が可能です。

CINCの「AI誤情報チェック機能」の使用イメージ画像

「生成AIの回答で誤った情報が出ていて困っている」「そもそも誤情報が出ていないかを確認したい」という方は、「AI情報チェックサービス」のお問い合わせフォームよりご相談ください。

>>AI誤情報チェックサービスについて問い合わせる

 

この記事の執筆者

吉田 崚人

株式会社CINC AI戦略部 マーケティンググループ マネージャー

吉田 崚人

新卒で予約ポータルサイトを運営する事業会社に入社し、商品企画・事業企画・アライアンス事業などを経験し、CINCに入社。製造業などを中心にBtoB企業のマーケティング戦略の立案~施策の実行までをサポート。現在はCINCのマーケティングを担う。
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この記事の監修者

松村 拓実

株式会社CINC AI戦略部 チーフ

松村 拓実

CINCに新卒入社後、オウンドメディア「Keywordmap ACADEMY」の運用を中心にSEO実務を担当し、メディアのグロースに貢献。その後、コンサルティング部門にて客先常駐型のSEO支援を行い、運用内製化を支援しながら大幅な流入・CV改善を実現。現在は、AI戦略部チーフとして、最新の技術トレンドを踏まえたリサーチ・サービス開発を担う。
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