リーガルメディアの運営や弁護士の人材紹介などを手掛ける株式会社アシロ。同社が運営する「CAREER UP STAGE」は、戦略的な転職エージェント選びとキャリアアップの実現を考えるメディアです。
検索エンジンのアルゴリズムアップデートの影響でトラフィックなどに伸び悩みが見られたことから、CINCにWebマーケティングのコンサルティングをご依頼いただきました。
ところが、施策の進捗が芳しくなく、思ったような成果がなかなか上がりません。
そこで新たに「常駐型コンサルティング」を導入いただいたところ、進捗のスピード、コミュニケーション、さらにPV数やセッション数などの数値が大きく改善しました。
常駐型コンサルティングはなぜ成果が上がりやすいのでしょうか。
今回は株式会社アシロで執行役員 派生・HR事業本部 本部長を務める横尾謙佑さんと派生メディア事業部 コンテンツチームの岡田大輝さんに話をお聞きしました。コンサルティングを担当したCINC マーケティングDX事業本部 マーケティングプロデュース部 マーケティングセールスグループ マネージャーの尾崎篤志と、コンサルティング部の松村拓実も同席しています。
(取材:株式会社CINC、文:株式会社ケーズオフィス、撮影:矢島 宏樹)
CINCの支援事例をまとめて知りたい方はこちら|「SEOコンサルティング支援事例集」
目次
「CAREER UP STAGE」の強みと課題
アシロさまの事業内容と、運営メディア「CAREER UP STAGE」について教えてください。
アシロ 横尾謙佑さん(以下、横尾)弊社は2012年からリーガルメディア事業を開始し、弁護士を探せるポータルサイト「ベンナビ」の運営のほか、派生メディア事業やHR事業、保険事業などを手掛けています。「ベンナビ」は、離婚や相続などさまざまな場面で法的支援を必要とするユーザーと弁護士を繋ぐことで、問題解決のお手伝いをするリーガルメディアです。そこに関連して、弁護士費用の一部を補償する少額短期保険の「ベンナビ弁護士保険」も展開しています。
派生メディア事業では、文字通りリーガルメディアから派生した領域で問題を抱えるユーザーへ向けたソリューションを提供しています。例えば、CINCさんにコンサルティングを依頼した「CAREER UP STAGE」は、戦略的な転職エージェント選びとキャリアアップを支援する転職応援メディアです。もともとは転職エージェントが見つかる「キャリズム」というWebサイトの集客用サテライトサイトとして立ち上げました。他にも、弁護士専門の転職エージェントや社外取締役らのマッチングサービスといったHR領域で各種メディアを運営しています。
横尾さんは「CAREER UP STAGE」とどのように関わっているのでしょうか。
私は立ち上げからメディアの統括・責任者として携わっています。売り上げや利益を上げることも重要ですが、弊社はもともとリーガルメディアの運営からスタートしていることもあり、コンテンツ制作では正しい情報伝達を重視する考え方が浸透しています。そのため、社内では高品質なコンテンツを作る意識が高く、チェック体制にも力を入れています。リーガルメディアと同様に、「CAREER UP STAGE」の運営でも記事に専門家の監修を入れるなど、情報の質にこだわっている点が強みです。
アシロ 岡田大輝さん(以下、岡田)「CAREER UP STAGE」のコンテンツ制作のディレクションは、私が担当しています。実際に記事を入稿するほか、流入数・CV数・売り上げなどKPIの管理まで担っています。
「CAREER UP STAGE」の運営では、どんな課題がありましたか。
横尾そもそも「CAREER UP STAGE」は、同じく転職領域のサイトである「キャリズム」のドメインパワーが低下したことを受け、サテライトサイトとして立ち上げられたという背景があります。要因として考えられるのは、Googleのアルゴリズムのアップデートです。そこで、新たに転職領域のトラフィックを生み出し、「キャリズム」をサポートする目的で、「CAREER UP STAGE」の運営をスタートしました。
ところが、社内でWebマーケティング、特にSEOの知見や対応できる人的リソースが不足していたこともあり、検索流入や売り上げ面で不安定な時期が続き、悩まされました。
岡田当時の「CAREER UP STAGE」では、メディア全体の5%程度の有力なコンテンツが、売り上げの大部分を支えている状況でした。そのため、検索エンジンでこれらのコンテンツの検索順位が下がると、メディアそのものが売り上げ目標を達成できなくなってしまうのです。こうしたバランスの悪い状態を改善し、全体的に検索順位を上げる必要性を感じていました。
横尾先ほども申し上げた通り、弊社はコンテンツの質には自信がある一方で、SEOのディープな専門知識を有する人材が少なかったため、戦略面に課題がありました。SEOの施策で結果を出すには、ある程度の時間がかかると認識しています。しかし、試行錯誤しても結果がなかなか出ない日々が続くと、しだいに現場が疲弊してきます。この状況を改善するには、現場の舵を取れる専門家が必要と考えて、コンサルティングを検討しました。
岡田外部企業にコンサルティングを依頼するにあたり、複数社へ資料請求や相談を行いました。なかでもCINCさんのコンサルタントは当事者意識が強く、「熱量がある!」と感じたのです。施策の提案に関しても、しっかりと作り込まれた資料をいただき、具体的な改善の方向性が見えてきたことが依頼する決め手となりました。
常駐型コンサルティングに移行したきっかけとメリット
CINCではどのような支援を行いましたか。
CINC 松村拓実(以下、松村)主にSEO施策のご提案と、常駐型コンサルティングによるプロジェクトマネジメントのご支援を行いました。
まずSEO施策に関しては、トピッククラスター戦略(関連性のあるコンテンツをグルーピングして整理することで、ユーザーと検索エンジンの双方からの評価を高める戦略)に基づいて、内部リンクの実装やパンくずリスト(Webサイトの階層をリスト化し、閲覧中のページの位置を示す機能)の設置に取り組みました。また、対策キーワードの選定、コンテンツ制作マニュアルの作成なども行っています。
常駐型コンサルティングが始まったのは2024年2月です。現在は週1回8時間、アシロさまのオフィスで勤務しています。
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まず社外のコンサルタントとして支援が始まり、途中で常駐型コンサルティングへ移行したのですね。なぜ常駐型への切り替えを検討したのでしょうか。
横尾実は、CINCさんにSEOの戦略を立てていただき、2週間に1回の定例ミーティングを実施していたものの、弊社側の実装が遅れる状況が続いていました。コンサルタントからいくら支援を受けても、現場が満足に施策に着手できないと、成果はなかなか上がりません。状況を改善し、現場とコンサルタントが協力する関係性をどう築けばいいかと考えていたところで、CINCさんから常駐型コンサルティングの提案を受けたのがきっかけです。
CINC 尾崎篤志(以下、尾崎)通常のコンサルティングがスタートした当初、アシロさまから高い目標値をご提示いただいたため、コンサルタント側も「絶対に達成しなければ!」と意気込んでいました。ところが、松村からの報告によると、施策の進捗や数値目標の達成度に遅れが生じている様子。ちょうどそんなタイミングで横尾さんと話を進めるうちに、常駐型コンサルティングで松村にアシロさまの社内へ入り込んでもらうアイデアが浮かんだのです。本人にその件を話したら、「行きたいです!」とのことだったので、すぐ御社に送り込みました。
横尾尾崎さんに相談した後、松村さんはすぐに飛んで来てくれました!(笑)
尾崎私自身、過去に常駐型コンサルティングを経験しているからこそ、定例ミーティングなどを通じて外から施策を提案するのと、お客さまの現場に入って支援するときの感覚の違いはよく理解しています。アシロさんは「一蓮托生のつもりで、互いに腹を割って本気でぶつかれるパートナーと取り組みたい」と考えている熱量の高い企業です。その期待に応える意味でも、社外から支援するのではなく、社内で一緒に手を動かすのが最適と考えました。
アシロさまの社内では、どのようなご支援を行いましたか。
松村主に定例ミーティングでの進捗管理や、新たにご提案する施策内容の説明、現場でのヒアリングや改善策のご提案、施策のブラッシュアップなどを行っています。やはり、実際に現場に入って対面でコミュニケーションを取ると、大きな違いを感じます。これまでもオンラインで定例ミーティングを実施していましたが、常駐型コンサルティングが始まって以降は、些細なお悩みも含めて現場の皆さんに気軽にご相談いただけるようになりました。例えば、「ミーティングで議題に挙げるほどではないけれど、気になることがあって…」とお声がけいただき、その場ですぐに回答することもあります。
横尾松村さんが社内に常駐するようになってから、施策の進捗ペースが改善しました。その際、単にコミュニケーションが速くなるだけに留まらず、現場のモチベーションにも好ましい影響が見られます。オンラインで画面越しに接するよりも、面と向かって指示を出してもらったほうが、「やってみようかな」という意欲につながるようです。それに、弊社のチームでは業務外の会話もコミュニケーションの一環として大切にしているため、日々の雑談を通じて松村さんと打ち解けられたのも良い効果が出ていると思います。
私たちは、松村さんが弊社の常駐型コンサルティングに乗り気になってくださったことが嬉しかったんです。アウェーの環境である外部の企業へ一人で乗り込むのはとても勇気が必要ですから、並々ならぬ心意気を感じました。
岡田松村さんと話す機会が増えてからは、SEOに関する疑問点がその場ですぐクリアになり、施策を実装するスピードも上がりました。ちょうど昨日も、「売り上げに貢献する可能性が高いページの読み込み速度が遅いのですが…」と相談させていただいたんです。おかげさまで本件もすぐに解決策が実装されて、今は検証の段階に入っています。
松村ご相談いただいてから実装するまで約5分。現場にいなければできないスピード感ですね。また、対面なら実際に画面をお見せしながら「このツールを使って、〇〇の数値を見れば改善点がわかりますよ」と具体的に説明できるので、専門知識を効率的にお伝えできます。
CINCの支援事例をまとめて知りたい方はこちら|「SEOコンサルティング支援事例集」
提案だけでは不十分。お客さまと一緒に手を動かすサポートを
定性面で多くの成果が見られたのですね。定量面の成果はいかがでしたか。
松村月間CV数、月間セッション数ともに半年間で約2倍に伸びています。この成果は、施策の中でもトピッククラスター戦略による効果が大きいと考えています。内部リンクの実装やパンくずリストの設置、コンテンツの改善によってサイト全体の評価を高め、検索順位の上昇を目指しました。また、アシロさまのご尽力により、ひと月あたり200本という大量のコンテンツ制作を実現した効果も非常に大きかったです。
岡田それまではひと月あたり最大150本が限界でした。そこで、記事を編集する工数を削減するために、松村さんと協力してコンテンツ制作マニュアルを作りました。これにより作業が効率化され、以前とほとんど変わらないリソースで、より多くのコンテンツを制作できるようになりました。長らくリソース不足が課題となっていましたが、リソースを変えずに本数を増やせる仕組みを構築できたのも大きな成果です。
横尾コンサルティングを通じて結果を出せたからこそ、もっと上を目指したいという想いが強まりました。「CAREER UP STAGE」をさらに成長させながら、人材アフィリエイト業界のトップを狙っていきたいです。これまでは競合サイトの施策から学びを得ることもありましたが、これからは我々が競合サイトに影響を与えられる存在を目指したい。どこにも負けない大きな熱量を持って取り組んでいますので、決して不可能ではないと思います。「CAREER UP STAGE」が大きく成長した後は、さらなる派生メディアの創出も考えています。
CINCでは今後、どのようにご支援していきますか。
松村引き続きSEO施策をご提案するとともに、アシロさまの内製化支援にも取り組んでいきます。CINCがご提案した施策を運用してPDCAを回す仕組みや、コンテンツ制作のマニュアル化、調査などの業務をアシロさまが社内で完結できるよう貢献したいです。
尾崎コンテンツ制作に関しては、今後もアシロさまのパワーでやり切っていただけそうです。私たちコンサルタントは、やはり内製化や業務効率化の観点で力になれることが多そうですね。Webマーケティングには工数の多い業務があり、現場が疲弊してしまうケースも少なくありません。だからこそ、頑張っている企業様の負担ができるだけ軽くなるような仕組みを作り、フォローしていきたいと考えています。
横尾ここまでの経験で、コンサルティングを成功させるには、導入企業側の受け入れ体制も重要であると学びました。当たり前のことですが、導入企業側がコンサルティングの提案を実行しない限り、成果は出ません。しかし実際はリソース不足の問題などでなかなか難しいわけです。だからコンサルタントはただ施策を提案するだけでなく、どうすれば導入企業側を動かして進捗させられるかについてもっと思考したほうがいいと思います。導入企業側もコンサルタントにどこまでの権限を与えて、現場に対してどのような接し方を求めるのか、そうした点も含めてコンサルタントとの関係性を構築する必要があると思います。
尾崎CINCにとっても、お客さま側にとっても、とても大事なメッセージですね。
岡田ゆくゆくは私たちだけで施策の運用ができるように、日々CINCさんからWebマーケティングのノウハウを吸収しているところです。現場のメンバーが自主的に運用できるようになるためにも、まずは私がWebマーケティングを身に付けられるように頑張っていきたいです。
松村これからも皆さんのご期待にお応えできるよう、私も頑張っていきますので、引き続きよろしくお願いします!
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株式会社アシロ
ABOUT
法律・転職・HRなどの幅広い領域でメディアを運営し、各分野の課題を抱えるユーザーへ向けたソリューションを提供している。運営メディアは、リーガルメディア「ベンナビ」、転職応援メディア「キャリズム」「CAREER UP STAGE」、管理部門向け情報メディア「BackOfficeDB」など多数。
NAME
株式会社ケーズオフィス
ABOUT
Webライティング専門カンパニー。社員ライターによる自社一貫の記事作成が特徴。コラム記事から取材記事まで、幅広いコンテンツ制作に対応。
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