1年間でECサイトの売上2倍!江戸扇子・江戸団扇の老舗・伊場仙が取り組んだWebマーケティングの圧倒的成果
クライアント
株式会社伊場仙 様

支援内容

ECサイトの売上アップと実店舗への誘客を目指したコンテンツマーケティング支援

部門

十四代目 代表取締役社長

担当者

吉田 誠男様

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創業1590年(天正18年)という430年以上の歴史を誇る、東京・日本橋の団扇・扇子・和雑貨の老舗「株式会社伊場仙」。

伝統と信頼に裏打ちされた確かなものづくりで多くのお客さまに親しまれてきましたが、最近では訪日外国人観光客も多数お店を訪れ、インバウンド需要に沸いています。

伊場仙のもう一つの特徴は、伝統にあぐらをかくことなく、WebサイトやECの運用、さらにはメタバース、NFT、海外事業の展開と、新しいチャレンジに積極的に取り組む姿勢にあります。

江戸っ子たちに愛されてきた老舗の会社から世界へ――。今回は株式会社伊場仙 十四代目 代表取締役社長の吉田誠男(のぶお)さんに話をお聞きしました。コンサルティングを担当したCINC マーケティングDX事業本部 コンサルティング部マネージャーの吉田崚人と、同じくマーケティングコンサルタントの大橋勇輝も同席しています。

(取材:株式会社CINC、文:株式会社ケーズオフィス、撮影:矢島 宏樹)

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目次

江戸扇子・江戸団扇の老舗が始めたWebマーケティングの狙い

伊場仙さまの事業内容について教えてください。

伊場仙 吉田誠男さん(以下、伊場仙 吉田)弊社は江戸時代に創業し、430年以上の歴史を持つ扇子・団扇の老舗メーカーです。創業当時は和紙や竹を扱う御用商人でしたが、江戸中期頃からこれらの材料を使った団扇の制作を始めました。江戸後期には人気浮世絵師の初代歌川豊国・歌川国芳・歌川広重などの版元となり、団扇絵(=団扇の地紙の形をした浮世絵の様式)で人気を博しました。現在は江戸扇子・江戸団扇・和雑貨などの商品を取り扱っています。

伊場仙 十四代目 代表取締役社長 吉田誠男さん

伊場仙 十四代目 代表取締役社長 吉田誠男さん

江戸扇子・江戸団扇とは、東京で伝統的に作られている扇子・団扇のことで、古くから涼を取る目的などで庶民の道具として親しまれてきました。日本各地で作られる扇子・団扇は産地によって特徴に違いがあります。例えば有名な産地である京都と比較してみると、江戸扇子は京扇子よりも骨の数が少なく、粋な雰囲気のデザインが一般的です。また、江戸時代の京団扇には絵師が手描きで絵付けをしていましたが、江戸団扇は木版技術の発達により大量生産できる「浮世絵」が使われていた、という違いもあります。

※画像出典:伊場仙「江戸扇子 No.21 鎌輪双(かまわぬ)紺」「江戸団扇 浮世絵 豊国 彫竹」

※画像出典:伊場仙「江戸扇子 No.21 鎌輪双(かまわぬ)紺」「江戸団扇 浮世絵 豊国 彫竹

弊社製品の主な販売先は、伊勢丹や三越などの百貨店でした。CINCのコンサルティングを受けて以降は、新たな販路が増えつつあります。例えばBtoBの領域では、保険会社へお中元向け扇子の販売が始まりました。BtoCの領域では、日本航空の機内誌での扇子の販売のほか、1964年より続くファッションブランド「Mademoiselle NON NON」(マドモアゼルノンノン)とのコラボレーション扇子などを展開しています。

BtoB、BtoCともにWebサイト経由の売り上げが伸びている状況です。特にBtoBには大きな効果を実感しています。それまで扇子専門メーカーを認知していなかった法人のお客さまが、Webサイトを通じて弊社の存在に気づいてくださったようです。

Webサイトを開設したのは、CINCにご依頼いただく10年以上前の、2008年頃と伺っています。開設当時のご状況はいかがでしたか。

伊場仙 吉田「そろそろ時代の流れに合わせて、オンラインでの宣伝にも取り組む必要があるだろう」と考えてWebサイトを立ち上げたのですが…。当初はそれほど手の込んだサイトを作れず、長らくアクセスを集められていない状況が続きました。社内でブログ記事を書いてはいたものの、あくまでも自分たちが発信したい情報を書くだけに留まり、集客にはつなげられていなかったのです。

本格的にWebマーケティングに取り組み始めたのは2021年頃からです。コロナ禍でインバウンドの売り上げが大打撃を受けて、実店舗のみで売り上げを確保することに限界を感じ、なんとかしなければいけないと考えました。今後ECで売り上げを作っていくためにも、あるいはWebサイトから実店舗へ誘客を行うためにも、まずはアクセス数を増やさなければなりません。そこで、付き合いのある会社から紹介されたCINCさんにコンサルティングを依頼しました。

コンサルティングの支援内容と圧倒的な成果

CINCではどのような支援を行いましたか。

CINC 大橋勇輝(以下、大橋)2022年10月から支援に入らせていただきました。初めに取り組んだのは、短期目標である「Webサイトのアクセス数増加」へ向けた施策です。具体的には、集客につながるコンテンツの制作や、サイト構造の改善などを行っています。

その前段階として、吉田社長と連携しながらカスタマージャーニーを作成しました。まずは、伊場仙さまのターゲット層に関する「Needs(ニーズ)」「Wants(欲求)」「Demands(需要)」(※)の定義から取り組みました。その後は、“ターゲット層が商材を認知する段階”、“商材の情報収集を行う段階”など各プロセスに対して、想定される検索キーワード(KW)と提供するコンテンツの内容を整理しました。

※『コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント(第12版)』(フィリップ・コトラー、ケビン・レーン・ケラー著、恩藏直人監修、月谷真紀訳、丸善出版)によると、『「ニーズ」とは、人間の基本的要件』『ニーズがそれを満たす特定の物に向けられると「欲求」になる』『「需要」は特定の製品に対する欲求』とある。

CINC マーケティングDX事業本部 コンサルティング部 チーフ 大橋勇輝

CINC マーケティングDX事業本部 コンサルティング部 チーフ 大橋勇輝

CINC 吉田崚人(以下、CINC 吉田)カスタマージャーニーの作成にあたり、扇子業界への理解を深めることに注力しました。伊場仙さまの主力商品である扇子は、どんな方がどういう目的で購入するのか、一般的にはイメージしにくい商材です。だからこそ、このプロジェクトではターゲット層の明確化が重要だと考えました。扇子業界を知るために、吉田社長に「扇子を買うのはどんな方ですか?」「お店ではお客さまからどんな意見をいただきますか?」と根掘り葉掘り質問させていただきました。

CINC マーケティングDX事業本部 コンサルティング部 マネージャー 吉田崚人

CINC マーケティングDX事業本部 コンサルティング部 マネージャー 吉田崚人

大橋そもそもコンサルタント自身がオンラインで扇子を買った経験がなかったため、業界理解が難しかった背景があります。扇子を購入するお客さまは、どこで扇子の存在を認知して、どのような行動を経て、最終的に購入に至るのか。全てのプロセスの徹底的な洗い出しを行ってカスタマージャーニーを作成し、ターゲット層の態度や行動が変容する流れを導き出しました。

カスタマージャーニー

CINC 吉田コンテンツ制作では、カスタマージャーニーに基づいた検索KWの対策に加えて、扇子にあまり詳しくない方の認知拡大につながる検索KWの対策にも取り組みました。伊場仙さまの既存顧客は年齢層が30~50代以上とやや高い傾向にあり、吉田社長から「若い世代や扇子のことを詳しく知らない方にも扇子の認知を広げていきたい」とご要望を伺っていたため、その点もコンテンツ制作に反映させています。

具体的には、日本の文化に触れるきっかけになるような検索KWでコンテンツを制作しました。これまでに扇子を買ったことのない方が、ふとしたきっかけで調べる可能性があるお役立ち情報を記事に落とし込んでいます。例えば「相撲観戦には何を着ていく?服装の選び方とあると便利な持ち物」のコラムには、日本の国技である相撲を観戦する際の疑問をきっかけに、扇子の存在を知っていただく意図があります。

大橋サイト構造の改善に関しては、「法人様向け販売ページの新規作成などに取り組んでいます。BtoB専用のページは以前から用意されていたものの、既存のお客さまの利用が大半で、新規の問い合わせはほとんど獲得できていませんでした。そこで、検索エンジンから「法人向け扇子」などのKWでヒットするようSEOでの評価が高まる構造に改修し、かつ法人の問い合わせに関する情報を充実させました。例えば、「よくあるご質問」や「ご注文から納品までの流れ」を提示することで、法人の担当者が安心して利用しやすくなるように調整を加えています。

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コンサルティングの成果について教えてください。

大橋課題であったWebサイトのセッション数に関しては、昨年の繁忙期(7~8月)と比較して3倍以上を達成しています。また、ECの売り上げに関しても大きな成果が見られました。繁忙期の注文数は昨年比2.4倍、同じく繁忙期の売上高は昨年比2倍を達成するという圧倒的な結果になっています。

伊場仙 吉田特に成果を感じた点は、「法人様向け販売ページ」のアクセスが増えたことです。おかげさまで大小さまざまな規模の企業さまからお問い合わせが入り、新しいお取引先が増えています。扇子は季節性のある商品であるため、例年8月以降は徐々に売り上げが低下する傾向にあります。ところが、2023年8月以降は、例年よりも売り上げの低下が穏やかになりました。Webサイトへのアクセス数の増加により秋冬にも商機があったことで、施策の成果を強く実感しています。

ECに限らず、実店舗への誘客でも成果を感じました。施策が始まって以降、日本橋の店舗へいらっしゃるお客さまのなかに、Webサイトを見てから足を運んでくださる方が見受けられます。伊場仙のお店を見るために初めて日本橋へ遊びに来て、近隣で蕎麦や寿司を召し上がって観光を楽しむお客さまもいらっしゃいました。これは予想外の影響です。

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海外需要が拡大。Webサイトの強化、動画、SNSなど総合的な取り組みを

なぜ今回のコンサルティングは大きな成果につながったのでしょうか。

大橋セッション数に関しては、品質の高いコンテンツを制作できた点が一つの理由だと考えています。制作にあたり吉田社長のご協力のもと、扇子・団扇の専門知識を説明する画像や資料をご提供いただきました。結果的に扇子・団扇の老舗メーカーである伊場仙さまが、有益な情報を伝える良質なコンテンツを発信する形になり、SEOにおける信頼性や権威性の評価を得られたと思います。

売り上げに関しては、明確なユーザー像に基づいてECの導線を設計したことや、改善策を素早く実装できたことなどが理由ではないでしょうか。例えばCINCが既存の導線の変更をご提案した際、吉田社長は「まずはやってみましょう!」と快く受け入れてくださいました。こうした吉田社長の積極的でスピード感のある対応によって実装がスムーズになり、いち早く成果につなげられたと考えています。繁忙期を迎える前に前述したSEOの評価基盤を整えられたことも大きいです。2022年12月に施策がスタートして、半年後の2023年6月頃には成果が見られました。

吉田社長は、施策に取り組んでみていかがでしたか。

伊場仙 吉田実は、コンテンツ制作に必要な画像や資料を用意するのに苦労しました…。これまでに経験したことのない業務だったため、慣れなくて大変だったのだと思います。今、施策に取り組んだ期間を振り返ると「やたら忙しかった」という印象があります。

大橋伊場仙さまは、430年以上の歴史を誇る老舗でありながら、常に時代の最先端を追っていらっしゃいます。今回行ったご支援の期間中も、ECの売り上げ向上に取り組みながら、メタバースやNFTなどの新たな分野に挑戦していらっしゃいました。大変ななかご協力いただきまして、ありがとうございます。

今後のCINCにどんなことを期待されていますか。

伊場仙 十四代目 代表取締役社長 吉田誠男さん

伊場仙 吉田将来的には、ビジュアル面にさらにこだわったWebサイトの制作を全面的に依頼したいです。これまでは写真や動画の質に注力できていなかったので、アクセス数をさらに増やすためにも、商品画像やYouTube動画の撮影などもお願いしたいですね。今は夏へ向けて業務が忙しくなってくる時期で、実店舗のお客さまへの接客だけで手いっぱいになってしまっています。しかし、繁忙期が終わって少し落ち着いてきたら、いずれまたレベルアップしなければなりません。

また、海外事業の展開にともない国際的なWebサイトを構築する必要性を強く感じています。以前はお客さまの7割が国内の方だったのが、2023年11月頃から海外の方が7割に変化している状況です。海外事業では、パリの展覧会に出展したり、パリのデザイナーとコラボレーションしたりと、国際的なプロジェクトに参画しています。海外には日本の文化に興味関心をお持ちの方が数多くいらっしゃいます。外国の美術館で浮世絵の展覧会が開催されることもあるほどです。そんなとき、扇子を取り扱う弊社はミュージアムショップとのお取引に商機があります。日本の文化と深く関わる商材だからこそ、海外へ向けた魅力的な演出が課題となっています。

海外事業でビジネスを成功させるためにも、これまで以上にWebサイトへのアクセスを確保し、かつブランディングのレベルを高めていきたいです。

CINC 吉田コンサルティングに入った当初の目標であった、ECでの売り上げ確保を達成したことで、新たな目標が視野に入ってきました。またCINCにお声がけいただく機会があれば、ぜひ動画制作やSNS運用など総合的なご支援をさせていただけたら嬉しく思います。

大橋今回の施策よりも難易度の高い、海外SEOにも挑戦してみたいですね。さらに、吉田社長が展望されているメタバースやNFTといったWeb3の分野までご支援を広げていく方向性も考えています。Web3の集客まで踏み込んでご支援できるよう、我々コンサルタントもスキルアップしなければなりません。また機会がございましたら、江戸時代から続く伊場仙さまがこれからさらに100年、200年と続いていくようなコンサルティングをご提供していきたいと思います。

伊場仙 吉田ぜひよろしくお願いします。

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企業DATA

株式会社伊場仙

ABOUT

江戸時代に創業し、430年以上の歴史を持つ老舗の扇子・団扇メーカー。江戸中期頃から団扇の制作を始め、江戸幕府御用達の団扇商、版元として活躍した。現在は江戸扇子・江戸団扇の販売のほか、東京都中央区「伊場仙浮世絵ミュージアム」の運営などを手掛ける。

記事執筆者

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株式会社ケーズオフィス

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Webライティング専門カンパニー。社員ライターによる自社一貫の記事作成が特徴。コラム記事から取材記事まで、幅広いコンテンツ制作に対応。