動画を見た人がショールームへ!お客さまのニーズをとらえたカリモク家具のYouTubeチャンネル運用方法とは
クライアント
カリモク家具株式会社 様

支援内容

YouTubeチャンネルの運用支援

部門

営業推進部・新市場営業部

担当者

山田 郁二 様

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ソファやテーブルなど、高品質な木製家具で知られるカリモク家具。同社は木材の調達から家具の製造、卸、修理に至るまで一貫した取り扱いで、木製家具の生産においては国内トップを誇るメーカーです。

カリモク家具は、2021年頃よりYouTubeチャンネル「カリモク家具|公式チャンネル」の本格的な運用を開始し、製品の魅力をはじめ、家具の選び方、コーディネートのコツなどのハウツーを発信しています。株式会社CINCでは、2022年4月よりYouTubeチャンネルの運用を支援。取り組みの結果、動画の視聴回数が改善しただけでなく、YouTubeチャンネルを見てカリモク家具のショールームを訪れる人の増加にもつながっています。

今回はYouTubeチャンネルの運用を担当する営業推進部統括・新市場営業部統括 常務取締役 山田郁二さんに話をお聞きしました。コンサルティングを担当したCINC マーケティングDX事業本部 ソーシャルメディアマーケティング部 マネージャーの上杉魁と、同じくソーシャルメディアマーケティング部の原愛子も同席しています。

(取材・文:株式会社ケーズオフィス、撮影:永山 昌克)

目次

1940年創業、一気通貫型のものづくりが強みのカリモク家具

カリモク家具さまの事業内容と、製品の強みを教えてください。

カリモク家具 山田郁二さん(以下、山田) カリモク家具は、1940年に愛知県刈谷市で創業した家具メーカーです。材木商の家に生まれた初代社長の加藤正平が木工所を興し、会社が始まりました。1947年には刈谷木材工業株式会社が設立され、当時は、豊田自動織機のミシン台、河合楽器製作所のピアノの鍵盤、三洋電機のステレオキャビネットなど、さまざまな下請けの仕事を引き受けていたそうです。そして1962年、下請けで培った木材部品の加工技術を生かし、自分たちのブランド「カリモク家具」を立ち上げました。

カリモク家具 営業推進部統括・新市場営業部統括 常務取締役 山田郁二さん

カリモク家具の強みは、木材の乾燥から加工、修理に至るまで、一気通貫型のものづくりができる点です。また、熟練の職人技と最新の加工技術を組み合わせることで、デザイン性と機能性を兼ね備えた製品を生み出しています。例えば、「Zaha Hadid Design(ザハ・ハディッド・デザイン)」とのコラボレーションによる「SEYUN(セユン)」コレクションは、弊社のこだわりが詰まった製品の代表例です。長年にわたる技術の蓄積と研究で、ソファなどの座り心地には定評があります。

YouTubeチャンネルでもソファのコンテンツが特に人気ですね。どのような背景で運用を始めたのでしょうか。

山田 本格的に取り組むようになった理由としては、情報発信のあり方の変化や、社内のノウハウ継承などの事情があげられます。

スマートフォンの普及で、誰もが簡単に情報を入手可能になっています。今は情報発信もメーカーの一方的なものではなく、インフルエンサーのような第三者が伝えたり、顧客同士がコミュニケーションを取ったりする時代です。かつて私たちとお客さまとの接点は家具店さんや百貨店さんなどの中間流通業者を介した状態でした。しかし、お客さまの情報収集の仕方が変わり、直接コミュニケーションをとる必要性を感じたため、2020年以降にSNSの活用に本腰を入れるようになりました。その頃はちょうどコロナ禍で、家具店さんや百貨店さん、弊社のショールームはいずれも通常通りの営業が難しく、お客さまとの購入接点の場としてオンラインに活路を見いだすべく、自社ECサイトを立ち上げた時期でもあります。家具はテキスト主体よりも、ビジュアルがメインとなるSNSとの相性が良いと感じ、現在は主にYouTube とInstagramに注力しています。

YouTubeの施策を始めた当時、私は59歳で還暦目前でした。定年退職が視野に入ったことで、「会社に自社製品やインテリアの専門知識を残さなければ」という焦りもあり、家具の選び方などのノウハウを動画に残すことにしました。当初YouTubeに投稿していた動画コンテンツは社員のための情報でもあったのです。

YouTubeチャンネルの運用では、どのような課題がありましたか。

山田 お客さまの中には、家具を購入する経験が少ないことから、「家具の選び方がわからない」という方も多くいらっしゃいます。そこで、初めて家具を選ぶ際の疑問に答えるコンテンツを用意したいと考え、動画制作に取り組みました。そして、この“第一弾”のコンテンツがある程度充実してきたら、次は“第二弾”として「お客さま自身が知りたい情報」のコンテンツを作りたいと考えました。

しかし、私たちには家具分野の専門知識があるものの、YouTubeの視聴者のニーズを広く理解できているわけではありません。YouTubeチャンネルの視聴者は何を知りたがっているのか。“第二弾”の企画立案に悩んでいたところ、展示会でCINCの存在を知り、コンサルティングを依頼することにしました。

CINC 原愛子(以下、原) CINCでは2022年4月から支援に入らせていただいています。私は当初の担当者からプロジェクトを引き継ぎ、2023年2月からジョインしました。

CINC 上杉魁(以下、上杉) 私は2023年6月からジョインし、オブザーバーとして原のサポートやプロジェクト全体の統括を担っています。

写真左からカリモク家具 山田郁二さん、CINC マーケティングDX事業本部 ソーシャルメディアマーケティング部 原愛子、CINCマーケティングDX事業本部 ソーシャルメディアマーケティング部 マネージャー 上杉魁

良質な動画コンテンツが増え、Googleの検索結果にも効果が波及

CINCの支援内容を教えてください。

 コンサルティングでは、“第二弾”の「お客さま自身が知りたい情報」の動画コンテンツ制作に向けた企画立案と、サムネイルの改善に主に取り組みました。

企画立案では、市場調査を実施した上で、視聴者のニーズに沿った企画をご提案しています。企画会議の際には山田さんへ「お客さまから〇〇に関するお悩みを聞くことはありませんか?」と具体的に問いかけて情報を引き出し、そこから企画につなげることもあります。

大きな成果が出たのは、ソファのサイズ選びのハウツー動画です。市場調査の結果、YouTubeを視聴しているユーザーにはソファのサイズに関する悩みを抱えている方が多く、「自宅に適したソファのサイズを知りたい」というニーズが高いことがわかりました。こちらの動画は、視聴回数3.3万回を達成しています(2024年2月時点)。

 

山田 お客さまの悩みがいろいろとあるのは把握しているのですが、どれから出せばいいかわからないので、原さんから質問されると「そういえば、お客さまからそんな意見を聞いたことがあります!」と思い出します。漠然と「お客さまの悩みは何ですか?」と聞かれるより、具体的に聞かれたほうが答えやすいです。

ソファのサイズに関するお問い合わせは弊社の公式ECにも多く寄せられていたので、この動画コンテンツがあれば問い合わせ業務の負荷軽減につながりそうですし、「お客さまのリアルな悩みに基づく動画は視聴回数が伸びるだろう」との期待もあって、企画をOKしました。

 また、カリモク家具さまのYouTubeチャンネルの視聴者は、数ある家具の中でも特にソファに関心の高い方が多い傾向にあったので、ソファに関する企画は他にもいろいろと切り口を変えながらご提案しました。例えば、「ソファの種類」「ソファのレイアウト」「ソファと床色の組み合わせ方」などです。

山田 カリモク家具のYouTubeチャンネルには、すでにコンテンツが60本以上あります。これだけ本数が多いと内容が重複してくるわけですが、切り口を少し変えれば、同じ情報であっても新鮮に見ていただけることがわかりました。

例えば、ソファのサイズに関する動画。先ほどのハウツー動画でもソファのサイズがテーマでしたが、「搬入」という別の切り口で、新たな企画が生まれました。こちらの動画は、2023年11月にアート引越センターさんとコラボレーションして制作したものです。

また、原さんからアドバイスを受けて、ショート動画にも本格的に取り組み始めました。ショート動画では、ソファベッドのコンテンツが視聴回数61万回の大きな成果をあげています(2024年2月時点)。

 サムネイルの改善では、視聴者が「この動画を見てみたい!」と思わずクリックしたくなるようなデザインを目指しています。例えば、先ほどのハウツー動画では、サイズを決める上で重要なポイントを示しながら、大きな文字で「ここが大事」と書くことでインパクトを与えています。写真で少しネタバレしながらも、本編を見なければわからない部分をあえて残しました。

 

山田 CINCとの取り組みが始まる前の動画コンテンツでは、本編の一部のシーンを切り取ってサムネイルに設定していました。「クオリティの高い動画を投稿すれば、自然と再生回数が伸びるだろう」と考えていたのです。しかし、サムネイルの改善によって動画の視聴回数が伸びるケースを見て、重要性を実感しました。今では目が肥えてきて、原さんから提案してもらったサムネイルにダメ出しをするほどです(笑)

サムネイルの改善により、視聴回数が伸びた例

YouTubeチャンネルの運用改善で得られた成果は、それだけではありません。スマートフォンからGoogleで「ソファ」と検索すると、SERPsの動画欄に弊社の動画コンテンツが表示されるようになりました。これはYouTubeチャンネルに投稿した動画が優良コンテンツと評価された結果だと思います。「ソファ」のような家具名だけの検索キーワードで上位表示されるのは、動画コンテンツの新規流入にも大きくつながっているので、SEOに取り組んでいる企業は、YouTubeチャンネルへの注力も検討すると良いかもしれません。

 

スマートフォンで「ソファ」とGoogle検索した結果(2024年2月時点)

動画をきっかけにショールームを訪れるお客さまも増加

CINCのコンサルティングを受けていかがでしたか。

山田 企画をご提案いただくとき、いつも私が「今、このコンテンツを作るのは難しい」と拒否するので、お二人はきっとつらかっただろうと思います。毎月10本の企画を提案してもらって、実現するのは3本くらいです。それでも諦めずにたくさんの切り口を提案してくださるので、ありがたいと感じています。

 つらくはありませんが、毎月どのような企画ならOKをいただけそうか、上杉と頭を悩ませながら考えています(笑)

山田 おかげさまで現在、動画コンテンツ制作は“第三弾”の段階に入りました。“第一弾”の「カリモク家具からお客さまへ伝えたい情報」と、“第二弾”の「お客さま自身が知りたい情報」を掛け合わせたものが、“第三弾”のコンテンツです。弊社が伝えたい情報と、お客さまが知りたい情報のバランスが取れた動画コンテンツでは、潜在顧客と顕在顧客の両方へのアプローチが期待でき、視聴回数も伸ばせると思います。

第一弾 カリモク家具からお客さまに伝えたい情報
第二弾 お客さま自身が知りたい情報
第三弾 カリモク家具が伝えたい情報で、お客さまも知りたいこと

上杉 お互いにこれだけ多くのコミュニケーションを取ってこなければ、“第三弾”のコンテンツまではたどり着けなかったはずです。木製家具のプロフェッショナルであるカリモク家具さまと、YouTubeチャンネル運用に精通したCINCのコンビネーションがあったからこそ、成果を出せました。

山田 制作した動画コンテンツはYouTubeチャンネルだけでなく、公式ECやカスタマーサポート、ショールームなどでも資産として有効活用しています。自分たちで苦労して撮影した動画でもあるからこそ、「使い倒そう」という気持ちになりますね。

また、CINCのお二人は「サムネイルの改善は重要です」「プロフィールを直してください」「ショート動画も作ったほうがいいです」などと、こちらに突っ込んだ指摘をしてくれるので助かります。コンサルティングを通じて私たち自身も学びになり、成長できたことが多くありました。

上杉 ご支援するときは、クライアント企業の成長につながるようなコンサルティングを意識しています。SNS運用は正解のない分野です。だからこそ、基本をしっかり押さえながらも、一人ひとりのお客さまがどんな支援を求めているかを見極めて、柔軟なご提案ができるようにしています。

東京・お台場のショールーム

最後に、今後のYouTubeチャンネルの展望を教えてください。

山田 最近では、動画コンテンツをきっかけにショールームへ足を運んでいただくケースが増えてきました。ハウツーが知りたければYouTubeチャンネル、製品の雰囲気が知りたければInstagram、実物を見たければショールーム、購入したければ公式EC…と弊社の各チャネルやサービスをシームレスにつないでお客さまの利便性を改善し、運用の効果を高めたいです。

ただし、その前に社内で次世代を育成する課題もあります。動画を撮影したり、YouTubeチャンネルを運営したりするリソースが自社になければ、CINCの企画力があってもチャンネル運営を継続するのは難しいでしょう。この課題を乗り越えるには、YouTubeに限らず、CINCからのさらに包括的な支援を期待したいです。

 もちろん、今後はさらに支援の幅を広げていきます。YouTubeチャンネルのみで完結せず、動画コンテンツからショールームやLINE登録などにつなげる流れも作り、カリモク家具さまのファンを育てられるような状態を目指したいです。

上杉 YouTubeチャンネルから購入への導線作りもしたいです。また、YouTubeの動画コンテンツをInstagramやTikTokに展開して、SNS全体で有効活用する取り組みも進めたいと考えています。YouTubeを起点としたSNS全体の戦略コンサルティングもぜひご提案させてください!

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企業DATA

カリモク家具株式会社

ABOUT

「木とつくる幸せな暮らし」の実現をミッションに掲げ、1940年の創業以来培ってきた職人技と最新の科学技術を掛け合わせて高品質な木製家具を製造。木製家具国内生産トップを誇る。近年はメイン事業に加えグローバルブランドとして展開し、木材に関わる事業を幅広く手掛けている。

記事執筆者

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株式会社ケーズオフィス

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Webライティング専門カンパニー。社員ライターによる自社一貫の記事作成が特徴。コラム記事から取材記事まで、幅広いコンテンツ制作に対応。