SEO・検索広告

公開日2026.05.08

SaaS企業がSEOで成果を出すには?特徴や施策のポイントをコンサルタントに聞いてみた

吉田 崚人

執筆者:

株式会社CINC AI戦略部 マーケティンググループ マネージャー

吉田 崚人

記事一覧
SaaS企業がSEOで成果を出すには?特徴や施策のポイントをコンサルタントに聞いてみた
SaaSは、ユーザーがWeb上で機能や料金、導入効果を比較しやすい商材です。そのため、SEOで検討初期から比較段階まで接点を持てるかどうかが、リード獲得の成果を左右します。

一方で、SaaSは顕在キーワードの競争が激しく、潜在キーワードはCVにつながりにくいという難しさもあります。この記事では、SaaS企業の支援に携わったコンサルタントへのヒアリング内容を基に、SaaSにおけるSEOの重要性、業界ならではの特徴、取り組むべき施策、成果を出すためのポイントを整理して解説します。

この記事でわかること

  • SaaSはWeb上で比較検討されやすく、SEOが比較の入り口を押さえる重要な施策になる
  • SaaS企業のSEOでは顕在キーワードの競争が激しく、潜在キーワードはCVしづらいため、準顕在層の攻略が重要になる
  • SaaS企業のSEOでは、カスタマージャーニーに沿ったキーワード戦略、営業との認識合わせが成果を左右する
  • SaaS企業のSEOでは、記事ごとにCVポイントを設計し、問い合わせだけでなくデモやトライアル、資料ダウンロードなど適切なCTAを使い分ける必要がある
  • SaaSはAIとも相性が良いため、ユーザーの比較軸に応じた情報構造の整理が求められる

SaaS企業がSEOに取り組む重要性

SaaS企業にとってSEOは、比較検討の入り口を押さえ、安定したリード獲得につなげるための重要な施策です。広告や成果報酬メディアだけに依存しない導線を持てることも大きな意味があります。

SaaSはWeb上で比較検討されやすい

――SaaS企業がSEOに取り組む重要性は、どのような点にあるのでしょうか。

主に2つあります。1つめは、SaaSが機能やスペックをWeb上で確認しやすい商材である点です。オーダーメイド型の商品と違い、SaaSはユーザーが複数のサービスを比較検討しやすいため、検索で見つけてもらえるかどうかが重要になります。

2つめが、SaaSには比較サイトやレビューサイトが数多く存在し、利用されている点です。こうしたサイトは掲載にコストがかかったり、掲載内容を十分にコントロールできなかったりする場合があります。自社サイトをSEOで上位表示できれば、費用を抑えつつ、望む文脈でユーザーの比較検討の候補に入る状態をつくれます。

――SEOに取り組むことで、どのようなメリットがありますか。

SEOで安定的に流入を獲得できれば、広告や成果報酬型メディアへの依存度を下げ、リードの獲得チャネルを分散させることが可能です。特に、Web上で比較検討が進みやすいSaaSでは、SEOによる流入を中長期的な集客基盤として育てる意義は大きいと言えます。

一方、SEOに取り組まない場合、リードの獲得は広告や成果報酬型メディアなどの施策に依存しやすくなります。例えばリスティング広告の場合、出稿しているキーワードの競争率が上がれば広告費用もかさみ、リードの獲得コストが大きくなりがちです。

すべてのSaaSでSEOが有効とは限らない

注意が必要なのは、すべてのSaaSでSEOが有効とは限らないという点です。「市場が狭すぎる」「検索需要が少ない」「キーワードで集客したユーザーを成約につなげる導線が限られている」などの場合は、SEOの投資対効果が合わないことがあります。

例えば、ニッチな領域で提供されていて検索ボリュームがほとんどないような商材では、そもそも狙えるキーワードが少なく、潜在層まで広げてリードを獲得しても成果につながりにくい場合があります。まずは市場のポテンシャル(検索需要の規模)と、集客したユーザーを成約につなげられる幅の広さを見極めることが大切です。

SaaS企業ならではのSEOの特徴

SaaS企業を含むBtoB領域のSEOは、顕在キーワードの競争が激しい一方で、潜在キーワードはCVしづらいという特徴があります。そのため、ユーザーの検討度合いに応じたCVポイントの設計が欠かせません。

顕在キーワードは競争が激しく、潜在キーワードはCVしづらい

――SaaS企業のSEOについて、キーワードの特徴や傾向を教えてください。

SaaS企業のSEOでは、「SEOツール おすすめ」のような顕在キーワードは、CVに近いぶん競争が非常に激しくなります。競合各社が上位表示を狙うためです。

一方で、検索ボリュームの大きい「SEOとは」のような潜在キーワードは、流入数の増加にはつながりやすいものの、情報収集目的のユーザーが多く、受注にはつながりにくいキーワードです。さらに直近では、AI Overviewsなどによって検索結果上で疑問が解決されるケース(ゼロクリック検索)も増えており、クリックやCVにつながりにくくなっています。

同業のSaaS企業だけでなく、別業界が競合になることもある

――「顕在キーワードの競争が激しい」とのことですが、SEO上の競合は同業他社に限られますか。

SaaSのSEO上の競合は、必ずしも同業他社だけではありません。例えば、会計管理ソフトは、キーワードによっては税理士事務所や会計事務所、公的機関などが検索上の競合になることがあります。

特にYMYLに近い領域や、制度・法令との関係が強いテーマでは、競合が広がりやすいです。SaaS同士の比較だけを見ていると、実際の検索結果とのズレが生まれやすいため、ベンチマークなど競合の見立てには注意が必要です。

「準顕在層」をどう取るかが重要になる

――難しいですね。顕在層と潜在層以外に、狙うべきユーザー層はありますか。

SaaS企業のSEOでとくに重要なのが、「準顕在層」のユーザーです。これは、まだツール名までは探していないものの、課題解決の方法を探している層を指します。

ユーザー層について解説しているイメージ図。ピラミッド型をしており、課題を解決したい「顕在層」、課題があってその解決方法を探している「準顕在層」、課題を自覚していない「潜在層」が上から並ぶ。それぞれの層が検索しそうなキーワードの例もあわせて記載されている。

例えば、「SEO 競合分析」や「コンテンツSEO キーワード抽出」のような検索は、SEOツールの導入にもつながりやすいキーワードです。潜在層と顕在層の間を取りにいく準顕在層は、SaaS企業のSEOで最も重視すべきポイントになります。

リードの数だけでなく、質も満たせる設計が強く求められる

――競合が多岐にわたり、攻略の難易度も高いとなると、「サイトへの流入数」や「問い合わせ数」を単に追うだけではSEOの成果として不十分な気がします。「リードの質」も重視されますか。

商材の状況や営業リソースのバランスによって変わりますが、リードの数だけでなく質も重視される傾向にあります。「とにかくリードの数を増やすこと」を求められている場合以外は、対策するキーワードで「どんなユーザーを連れてくるのか」を意識する必要があり、リードの量と質の両方を満たすキーワード戦略やCVポイントの設計が求められます。

というのも、SaaSは比較的低価格で導入でき、LTV(顧客生涯価値)を上げることによって収益を上げるモデルです。商談や契約につながらないリードばかりを獲得していると、CPA(顧客獲得単価)がLTVを上回ります。また、インサイドセールスや営業が購買意欲の低いリードも含めてすべてアプローチするのは、営業効率の悪化につながるでしょう。

リードの質の問題を解決するには、ターゲットへの解像度を上げ、営業部門との「質の定義」のズレをなくすことが大切です。

SaaS企業のSEOで取り組むべき施策

SaaS企業のSEOでは、まず市場として取り組む価値があるかを見極めたうえで、カスタマージャーニーに合わせたキーワード戦略とCV設計を行うことが重要です。

カスタマージャーニーに応じたキーワード戦略を立てる

――キーワード戦略は、どのように組み立てるとよいでしょうか。

SaaS企業のSEOでは、検討段階ごとにキーワードを整理する必要があります。潜在層、準顕在層、顕在層を分けて考え、それぞれに合ったテーマを設計することが基本です。

重要なのは、単に検索ボリュームが大きいものを狙うのではなく、ユーザーの課題解決の流れに沿ってキーワードを配置することです。どの段階でどんな情報が必要かを整理すると、記事群の役割が明確になります。

指名検索でも適切な情報提供が求められる

――指名検索への対応について、特筆すべきことはありますか。

顕在系や潜在系のキーワードだけでなく、サービス名について直接検索される指名検索への対応ももちろん必要です。例えば、サービス名と一緒に「(サービス名) ×(評判)」「(サービス名) ×(特定の機能)」などと具体的に検索するユーザーは、すでにそのサービスに関心を持っています。

  • CINC コンサルティングサービス 評判
  • Keywordmap AI Overviews分析

その段階のユーザーには、単なる宣伝ではなく、疑問に答える情報提供が求められます。指名検索は最終確認の場にもなりえるため、適切な情報を返せるかどうかが信頼形成に直結します。

需要が高まるタイミングを捉えて攻める

――SaaS企業のSEOは、季節やイベントなどの時期に応じて注力すべきキーワードは発生しますか。

SaaSの中には、年度末や決算期、法改正、制度変更などの影響を受けて検索需要が高まる商材があります。例えば、会計ソフトであれば、決算期や税制改正、インボイス制度などをきっかけに情報収集や乗り換え検討が増えることがあります。

こうしたタイミングは、検索需要が一気に増えるチャンスです。平常時の施策だけでなく、イベント発生時にどこへ力を入れるかまで決めておくと、成果につながりやすくなります。

SaaS特有のSEOを成功させるためのポイント

SaaSのSEOで成果を出すには、ターゲットの解像度を上げ、営業との認識のズレをなくしながら、キーワードごとに合うCVを設計することが重要です。

ターゲットの解像度を上げ、営業とのズレをなくす

――SaaS企業がSEOを成功させるためのポイントは何でしょうか。

営業の求めるターゲット像と、SEOやマーケティングの担当者の想定するターゲット像のズレをなくすことが大切です。

SaaSのSEOやマーケティングは、リードの獲得が主な役割で、獲得したリードへの営業活動は営業担当者が行うケースが一般的です。SEOやマーケティングの担当者は、営業経験がないことも少なくありません。その結果、営業担当者とSEO・マーケティング担当者で想定するターゲット像にズレが生じやすくなります。

このズレをなくすには、営業担当者へのヒアリングや商談の同席が有効です。ターゲットユーザー像の解像度が高まると、記事やCTAの設計の精度が向上します。

ユーザーの検討フェーズに応じた記事設計が必要になる

――記事の設計について、気を付ける点はありますか。

SaaS企業を含むBtoB商材では、ユーザーの検討フェーズや発注までの時間軸が一様ではありません。情報収集を始めたばかりのユーザーもいれば、すでに複数サービスを比較しているユーザー、社内稟議に向けて具体的な判断材料を探しているユーザーもいます。

そのため、記事の設計では、認知、理解、比較検討といった各フェーズをカバーすることが重要です。特に認知段階のユーザーと接点を持つ場合は、記事を読んで終わりにするのではなく、資料請求やホワイトペーパー、メルマガ登録、比較記事などへつなぎ、次の検討フェーズに進んでもらう導線設計が求められます。

記事単体で問い合わせを狙うのではなく、複数の接点を積み上げながら、ユーザーの検討度合いを少しずつ高めていく設計が成果につながります。

キーワードごとに“合うCVポイント”を変える設計が重要になる

――CTAの設計についてはどうでしょうか。

SaaSのSEOでは、キーワードごとに「どんなCVなら自然か」を想像し、CTAを変える設計が重要です。検索意図に対して違和感のないCTAを設置できるかどうかで、成果は大きく変わります。

例えば、比較検討が進んでいるキーワードでは「問い合わせ」や「デモ」「トライアル」などのCTAが自然です。一方で、「SEOとは」のような潜在層向けのキーワードでは、「ホワイトペーパーのダウンロード」や「メルマガ登録」などのCTAのほうがハードルが低く、CVにつながりやすいでしょう。ユーザーの温度感に合わせて、最もマッチするCVポイントを選ぶことが欠かせません。

<CRM(顧客管理システム)の例>

記事テーマ 想定フェーズ CVポイント
CRMとは 認知
  • ホワイトペーパーDL
  • メルマガ登録
CRM おすすめ 比較 比較検討
  • 資料請求
  • デモまたはトライアル訴求
(サービス名)+評判 指名検索
  • 導入事例
  • デモまたはトライアル訴求

また、すぐに試しやすい商材なら「トライアル」が合いますが、導入前に設定や準備が数多く必要な商材では、いきなり「トライアル」を勧めるのではなく「デモ」や「相談」が適しています。

このような導線設計は一律のベストプラクティスに当てはめるのではなく、自社の商材特性や顧客の検討プロセスに合わせて設計することが重要です。そのため、ユーザーがどの段階で何を求めているのかを起点に、適切なCVポイントを選ぶ必要があります。

AI検索時代は潜在層向けの施策が効きづらくなる一方、SaaSはAIと相性が良い

――AI検索時代のSaaS企業のSEOは、どのような変化が予想されますか。

AI検索時代は、潜在層向けの施策が従来より効きづらくなります。情報収集の初期段階はAIで済ませる人が増え、これまでのようにノウハウ記事で認知を獲得しづらくなるためです。

ただし、潜在層向けの施策自体の意義がなくなるわけではありません。従来のように検索流入を直接獲得するための施策ではなく、AIに理解・参照されるための情報基盤として、目的を変えて設計する必要があります。

Web上で比較検討しやすいSaaSは、AIと相性の良い商材でもあります。ユーザーが「この課題なら、どのサービスが合うのか」をAIに相談しやすいからこそ、ユーザーの比較軸に合わせて情報構造を整えておくことが、これからのSEOでも強みになるでしょう。

SaaSのSEO施策はCINCにご相談ください

SaaS企業のSEOは、比較検討されやすい商材である一方、顕在キーワードの競争が激しく、潜在キーワードはCVしづらいという難しさがあります。そのため、準顕在層をどう取るか、キーワードごとにどのCVを置くかが成果を左右します。

また、SaaSではリードの数だけでなく質も厳しく見られる場合があるため、営業との認識のズレをなくしながら、ユーザーに合う導線を設計することが重要です。さらに、法改正や制度変更など、プロダクトの需要が高まるタイミングを捉えることや、AI検索時代を前提に比較しやすい情報設計を整えることも欠かせません。

SaaSのSEOに課題を感じているなら、SEOコンサルティングAI検索最適化(GEO/LLMO)コンサルティングを提供するCINCにぜひご相談ください。CINCはSaaS領域の支援実績があり、自社でもSEO・コンサルティングツール「Keywordmap」を提供しているため、営業とマーケティングの認識差や、キーワードに応じたCV設計の難しさなど、SaaSのSEOを解像度高く支援できます。さらに、AI検索最適化の知見も活かしながら、検索流入の獲得から比較検討、CV設計まで一気通貫でご支援します。

>>BtoB企業の支援事例を見る
>>無料で相談する

この記事の執筆者

吉田 崚人

株式会社CINC AI戦略部 マーケティンググループ マネージャー

吉田 崚人

新卒で予約ポータルサイトを運営する事業会社に入社し、商品企画・事業企画・アライアンス事業などを経験し、CINCに入社。製造業などを中心にBtoB企業のマーケティング戦略の立案~施策の実行までをサポート。現在はCINCのマーケティングを担う。

記事一覧

資料ダウンロード

サービス説明資料や調査レポート、
ノウハウ資料を無料でダウンロードいただけます。

資料をダウンロードする

ご相談・お問い合わせ

デジタルマーケティングに関するご質問やご相談など、
お気軽にお問い合わせください。

まずは相談する