『トラック王国』を物流・建設業界の課題解決プラットフォームへ――Nentrys(ネントリーズ)が目指す事業価値向上への挑戦と取り組み
クライアント
Nentrys株式会社 様

支援内容

『トラック王国』のSEO

部門

ICTソリューション部

担当者

野村 林太郎 様、三浦 有希 様

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Nentrys(ネントリーズ)株式会社が運用する『トラック王国』は、中古トラックなど商用車の販売・買取を行うオンラインプラットフォームです。

各地域に展開する販売店での購入が大半だった中古トラックを、全国の市場からネットで選べるという便益で、主に物流・建設業界から高い支持を得ています。

株式会社CINCでは2015年から主に集客面で『トラック王国』のコンサルティングを担当、事業成長を側面からサポートしてきました。

今回、あらためて両社の並走の軌跡と今後の方向性について伺うべく、Nentrys ICTソリューション部 部長の野村林太郎さんとマネージャーの三浦有希さんに話をお聞きしました。コンサルティングを担当した株式会社CINC マーケティングDX事業本部 コンサルティング部の小櫃(こびつ)裕也も同席しています。

(取材・文:株式会社ケーズオフィス、撮影:矢島 宏樹)

目次

レガシーな業界をデジタルでリードする『トラック王国』の魅力

Nentrysさまの事業内容を教えてください。

Nentrys野村林太郎さん(以下、野村) メイン事業は、中古トラックや重機などの商用車を売買するオンラインプラットフォーム『トラック王国』の運営です。中古トラックなどを仕入れてWebサイトに掲載し、全国へ向けて販売しています。従来の中古トラック業界では主に、各地域の販売店で取引が行われていました。中古トラックの購入を希望する物流・建設業者の方は、まず販売店に相談します。その後、依頼を受けた販売店がオートオークション(=中古車両の卸売市場)で顧客の要望に合う中古トラックを仕入れて販売するのが一般的な流れです。それに対して『トラック王国』では、どこからでもアクセスしやすいネットの利点を生かして、全国の物流・建設業をはじめとするお客さま、中古商用車販売業者に向けて中古トラックを販売しています。

Nentrys ICTソリューション部 部長 野村林太郎さん

Nentrys ICTソリューション部 部長 野村林太郎さん

オンラインで中古トラックを探すと、顧客にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

野村 お客さまが求める条件に合致した中古トラックを見つけやすくなるのがメリットです。中古市場では数多くの車両が販売されていますが、トラックの商用車はそれぞれの職人さんが仕事をする上で必要な機能を搭載していることが求められるため、基本的にはフルオーダーになります。そのため、見た目が気に入ったり、希望の条件に近い車両に出合ったりしても、車両の形状や大きさなどの細かい仕様が条件に合わなくて購入に至らないケースが珍しくありません。また、大手企業は新車を購入する傾向があるのに対し、中小企業は中古の商用車を購入するところが多いようです。こうした背景もあり、お客さまは自分たちの仕事に適した車両を見つけるのに日頃、苦労しています。その点、『トラック王国』を活用すれば、地域の販売店に限らず、市場に出回っている全国の車両から探せますから、要望に合う中古トラックを見つけられる可能性が高まります。

『トラック王国』が持つ優位性について教えてください。

野村 一つは、デジタル化で後れを取りがちな中古トラック業界において、早い段階でネットの力を使ったことです。これにより先行者利益を得られた点は大きいと考えています。

Nentrys 三浦有希さん(以下、三浦) 当サイトのメインユーザーは企業の社長や車両担当者などで、年齢は50代以上、いずれも購入の意思決定に携わる方が中心です。お客さまの年齢層はやや高めだといえます。そのため、Webサイトを作る上では、年齢層の高いお客さまにも伝わりやすいように、見やすさとわかりやすさを工夫したデザインにしています。その分、トレンドのデザインを取り入れたり、おしゃれに見せたりする方向性からは、少し離れているかもしれません。

ユーザー目線を意識したデザインは一般的なサイトでも大事な観点ですが、『トラック王国』では、例えば「年式や走行距離、積載など、比較の際に重視されやすい情報を商品一覧ページに記載する」「車両画像をスマホの全画面で見られるようにする」「車両の詳細ページでは、スクロールが少なく済むようトラックの写真とスペックをなるべく一つの画面に収める」など、車両の探しやすさ、意思決定のしやすさを重視してサイト設計をしています。

野村 その一方で、Webサイトのユーザビリティを高めるために、機能面には力を入れています。『トラック王国』は一見するとレガシーな印象を受けるかもしれませんが、機能もレガシーというわけではありません。例えば、お客さま向けに車両の仕様を詳細に指定できる高度な検索機能が備えられています。お客さまのニーズに寄り添いながら、サイトの利便性をさらに洗練させられるよう今後も積極的に改善に取り組みたいと考えています。

Nentrys ICTソリューション部 マーケティング企画課 マネージャー 三浦有希さん

Nentrys ICTソリューション部 マーケティング企画課 マネージャー 三浦有希さん

CINCの支援概要と成果創出の真の背景

現在の『トラック王国』は、中古トラック買取業界で知名度No.1とのことですが、ここに至るまでにどんな課題感があったのでしょうか。

野村 私が前任者から引き継いだタイミングでは、Webサイトの流入減少や検索順位の維持などが課題としてありました。また、中長期のビジョンとしてはサイト経由の問い合わせ件数増加も掲げています。ただし、無理をしてでもコンバージョンを獲得できればいいとも考えていません。まずはユーザーニーズを考慮しながら、着々とサイトの改善に取り組むことを大切にしてきました。

CINC 小櫃裕也(以下、小櫃) 『トラック王国』は業界の性質上、ユーザーの年齢層が高く、またユーザーの求めるものが人によって大きく異なります。そのため、単にWebサイトにトレンドを取り入れるだけで改善が期待できるような状況ではありませんでした。コンバージョンに至るには、まずはユーザーにわかりやすく情報を伝えることに注力しなければなりません。そこで、この2年間は検索順位と流入数の向上を目指しつつ、プラスアルファとしてコンバージョンを改善する施策に取り組みました。

具体的にどのような施策を行いましたか。

小櫃 すでに一定の施策を実施していたのと、課題抽出を行ったところ「SEOの基礎をあらためて突き詰めれば、成果がよりあがるのではないか」という仮説があったため、SEOの基本に立ち返る施策に多数取り組みました。Nentrysさまと連携しながら、内部リンク集約や低品質ページ排除、タイトル改善などの基礎的な施策を地道に取り組むことで成果をあげています。

【施策の例】

・CWV(Core Web Vitals)対策
・内部リンク集約
・低品質ページ排除
・対策強化中のクエリのテーマ性強調
・タイトル改善
・アナリストの常駐によるCVR改善(Nentrysさまのリソース不足を受け、施策の細かな指示出しなどを実施)

 

CINC アナリティクス事業本部 クリエイティブ&アナリシス部 コンサルティンググループ 小櫃裕也

CINC マーケティングDX事業本部 コンサルティング部 小櫃裕也

 

コンサルティングによってどのような成果が得られましたか。

小櫃 取り組みを開始した202112月の時点で、Webサイトの平均掲載順位は6.6位でした。現在は平均掲載順位が5.14位まで上昇して、約1.5ポイント高まっています(2023927日現在)。サイトのセッション数は一時的に落ちていたものの、対策キーワードの順位の回復および上昇に伴い、改善傾向にあります。

野村 現状については一定の成果があったと考えています。ただし、弊社側の事情でまだ十分に施策へ取り組めていないのが今後の課題です。実は、社内でリソースを確保するのが難しく、小櫃さんの提案を全ては実装できていません。こうした状況を赤裸々にお伝えしたところ、小櫃さんが「せめてこの施策だけでも取り組んでください」と優先順位を示してくれました。こうした最小限の取り組みだけで一定の成果が出ている点もありがたく思っています。

三浦 社内の状況によっては、半年前の提案を今から実装するケースもあります。きちんと実装すれば成果が出るのは、過去の実績からもよく理解しています。小櫃さんの提案を信頼しているからこそ、今後はご提案いただいた内容をいち早く社内で実装できるように体制を整えていきたいです。

皆さまのやり取りから、両社間に強い信頼関係が築かれている様子がうかがえます。Nentrysさまには比較的長い期間、ご支援させていただいているそうですね。

小櫃 私がNentrysさまの担当になったのは20219月からです。前任のコンサルタントの期間も含めると、2015年頃からのお付き合いになります。

三浦 私が201512月に入社した時点で、すでに前任者がCINCにコンサルティングを依頼していました。当時は社内にSEOに詳しい人がいなかったため、サイト運営のノウハウや戦術の支援を受ける目的でコンサルティングが始まったようです。

なぜこれほど長くコンサルティングが続いているのでしょうか。

野村 コンサルティングによって成果が出ていることが前提としてありつつ、やはりコンサルタントの人柄が大きな理由です。私は20212月に入社したので、小櫃さんの前任のコンサルタントともやり取りしていますが、CINCの皆さんは人柄がとても良い。

三浦 野村さんと小櫃さんは、普段から仲良くやり取りしています。こうした関係性があるからこそ、小櫃さんが本音で提案し、忌憚なく指摘をしてくれているのがわかります。

野村 CINCのコンサルタントは、私たちが相談しやすい環境構築に秀でていて、小櫃さんはコンサルタントとしてのご自身の立ち位置を理解した上で、率直な意見を伝えてくれます。コンサルティングで適切な提案をするためには、その前にコンサルタント自身の信頼できる人柄がクライアントに伝わっていることが大切だと思います。関係性が構築できていないクライアントに「あなたたちは成果につながる取り組みができていない」とストレートに伝えても、気分を害されて素直に提案を受け止めてくれない可能性があります。一方で、コンサルタントの中にはクライアントに迎合するタイプの人もいます。小櫃さんは弊社に共感を示しながらも、プロとしての意見をきちんと伝えてくれるので助かっています。

小櫃 NentrysさまのようにWebマーケティングおよびSEOに対するリテラシーが高い企業は、「自社のWebサイトに何が足りないのか」「どのような対策をすれば良いのか」を理解されているので、それを踏まえたうえでかゆいところに手が届くような提案をコンサルタントに求めていると思います。そのため、コンサルティングはいつも以上にコミュニケーションを取りながら進めるように意識しています。お客さまとパートナーとして共に歩みながら価値を創造していくのがコンサルタントとしての私の理想でもあるので、成果創出に向かって常に建設的なコミュニケーションを取れるNentrysさまは、その意味でも理想的なパートナーだと思います。

野村 小櫃さんのように、クライアントと伴走する意識を持っているコンサルタントがいるのがCINCの強みですね。

両者が丁寧にコミュニケーションを重ねて信頼関係を構築した結果が今につながっているのだと感じました。コンサルティングでは、今後どのようにNentrysさまを支援していきたいですか。

小櫃 基本的にはこれからもご支援の形は変わりません。両社で話し合いながら施策を進めていきます。Nentrysさまのご意見を聞いた上で、私自身がベストな回答を出せるようにしたいです。

物流・建設業界の課題解決プラットフォームへ

物流・建設業界では、慢性的な人手不足が課題となっています。その中でNentrysさまが貢献できることは何でしょうか。

野村 今後は『トラック王国』を課題解決プラットフォームとして展開する方向性を考えています。現状は中古トラックを売買するプラットフォームの位置づけですが、いずれは業界のさまざまな課題を解決するブランドを目指していきます。弊社はプラットフォーマーであり、『トラック王国』はあくまでも一つのブランドに過ぎません。例えば、関連会社が提供する人材支援サービス『転職メガホン』では、トラックドライバーや重機オペレーター等の転職支援を主に行っています。大型車両の操作は危険度が高く、仕事では特殊な免許や豊富な経験を求められます。物流・建設業界の人材不足にはこうした複雑な背景があり、ただ人を補充すれば解決できるわけではありません。だからこそ、業界の中でも現場に近い弊社の知見と強みを生かして、社会課題の解決に貢献していきたいと考えています。

今後もさまざまな新規サービスに挑戦する可能性があります。そんなとき、Web関連はCINCに伴走してもらいたいです。たとえ私たちの提供するサービスが変わっても、CINCには変わらない支援を求めます。

小櫃 おそらくどんなサービスのコンサルティングでも、今と同じ着実な取り組み方をすれば確実に成果をあげられる自信があります。施策の提案にとどまらず、お客さまとの対話を大切にしながらコンサルティングに取り組んでいきたいです。

三浦 今のように、コミュニケーションを密に取りながら一緒に仕事をするのは、すごく良い形だと感じています。単なる情報のやり取りならチャットだけで済みますが、対面で互いに表情を見ながら認識をすり合わせるからこそわかり合えることがたくさんあると感じます。そういうコンサルティングに今後も期待します。

野村 『トラック王国』は中古トラック業界の中で見ると実力のあるサービスです。しかし、Web業界全体まで視野を広げると、まだまだやるべきことがたくさん残されています。また、多くの課題がある物流・建設業界の中では、弊社が携わっている領域はまだ少ないと認識しています。今の『トラック王国』をさらにパワーアップして、もっとイケてるサービスを目指します。

小櫃 『トラック王国』の未来に向けて、ぜひこれからも伴走させてください。よろしくお願いいたします。

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企業DATA

Nentrys株式会社

ABOUT

「世界中で働く人々の笑顔と未来をつなげよう。」をビジョンに掲げ、商用車専門オンラインプラットフォーム『トラック王国』の運営・企画・開発を行う。トラック・バス・重機の買取および販売のほか、海外輸出事業も展開しており、物流・建設業界の活性化に貢献するサービスを提供している。

記事執筆者

NAME

株式会社ケーズオフィス

ABOUT

Webライティング専門カンパニー。社員ライターによる自社一貫の記事作成が特徴。コラム記事から取材記事まで、幅広いコンテンツ制作に対応。