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2019.09.18

CINCが人のように気持ちを察する感情分析AIを開発

CINCが人のように気持ちを察する感情分析AIを開発

株式会社CINC(以下、CINC)は、人の気持ちを分析する上で欠かせない6つの感情を、テキストから判定するAIを開発しました。本AIは、日本語の細やかなニュアンスを判定し、より精度の高い感情分析を可能にします。

AIによる感情分析は、急速な技術の進展を背景に世界で開発が進んでいます。市場調査やユーザーインサイトの把握などを目的に、マーケティング、人材、教育、医療などの分野で導入が進み、今後も注目が高まることが予想されます。 CINCは、創業から独自に自然言語処理の研究を進めており、研究・開発の成果をWebマーケティングの調査・分析ツールなどのソリューションとしてクライアント様に提供してきました。 そこで培ったノウハウを活用し、主席研究員を中心としたR&Dチームで、感情を正確に判定できるAI開発を推進しています。

このたび開発に至ったAIは、「怒り」「恐れ」「好き」「喜び」「悲しみ」といった基本的な5次元 の感情に、判定が困難とされる「中立」を加えた6つの感情を分析できます。英語に比べて構造化が難しいとされる日本語のテキストから 、言葉の背景にある書き手の心情を分析することを可能にしました。CINCは、本AIの感情分析技術を用いた調査・分析の新サービスの開発を進めています。

 

【CINCが開発したAIについて】

■分析が難しいとされる日本語の主旨を把握できる

自然言語処理の領域において、日本語は英語に比べて分析が難しい言語と考えられています。

理由の一つが、文節のわかりにくさです。例えば英語の場合、単語の間にスペースを用いるため、AIにも文章の区切りを理解させることが容易とされています。一方で、日本語は、主語、動詞、助詞、助動詞などが連結して一つの文章が成立します。そのため、一見何通りもある区切り方の中から、正しく文節を区切って文意を理解するための規則性を学習させる必要があります。

 

(左)章を区切る箇所に応じて異なる意味を示す文章になる。(右)英語は文頭で「嫌い」とわかるが、日本語は最後まで読まなければ嫌いであることがわからない。

 

二つ目に、日本語特有の結論のわかりにくさが挙げられます。英語の場合、主語の次に述語、その後に目的語や修飾語が続くため、文頭で趣旨を理解することができます。一方、日本語は主語と述語の間に目的語や修飾語が並ぶことが多いため、機械的に文の趣旨を判断するには、英語に比べて技術的により多くのステップを必要とします。

こうした日本語独自の特徴が、AI開発に必要な構造化を複雑にし、日本語分析のハードルを高くしていると考えられます。

 

CINCでは自然言語処理の研究、ツール開発・提供を通じて培ったノウハウを活用し、日本語のテキストデータから文章の背景にある書き手の感情を分析するAIの開発を推進しています。

 

■日本語の微妙なニュアンスを理解できる

日本語は、書き手の状況や前後の文脈で、同じ言葉でも意味が異なることがあります。例えば、「おいしくない」と「おいしくない?」のように、疑問形や否定形で終わる文章の場合、文末表現の違いで発言者の意図が大きく変わるケースもあります。人であれば汲み取れる微妙なニュアンスの違いも、AIにとっては判定するのが難しい課題となります。

 

(左)期待がはずれた悲しみ、がっかりする気持ちをネガティブな感情と分析。(右)「?」が加わると、「おいしい」と思う気持ちに同意を求めるポジティブな感情と分析。

 

CINCが開発したAIは、「おいしくない」を否定的な意味ととらえますが、語尾に「?」がつくことで「おいしい」と肯定するニュアンスに変わることを理解します。

【感情分析AIによって可能になること】
ビジネスシーンでは、膨大な量の情報を一度に把握しなければならない場面があります。例えば、イベント後のアンケートや面談記録など、何万字にも及ぶ莫大なテキストを分析する場合に、人が一つひとつ読み込み、文章の趣旨や傾向を把握するには、一度に処理できる量に限界があります。こうした作業をAIが担うことで、膨大なテキストデータも高速で分析できるようになります。

また、一つひとつ目視で行うと莫大な時間を要するSNSの分析も、AIを活用することでテキストに含まれる感情の傾向について、短時間で手軽に把握することが可能です。

 

AIの活用によって生み出された時間を、事業の戦略立案など、重要度の高い業務に充てることで、働き方改革の実現をサポートします。

CINCはこれからも、AI、テクノロジー分野での研究・開発を推進し、クライアント様の利益最大化に貢献するサービスの提供に尽力してまいります。